【音楽雑記/ディスクレビュー】the band apart「Scent Of August」の話

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8月といえば私の中ではthe band apart

彼らの作品の中に「Scent of August」というアルバムと、「8月」という曲がある。(「8月」に関しては「街の14景」というアルバムに収録されている)

the band apart、通称バンアパ
バンアパ自体はTUBEやサザンオールスターズやオレンジレンジのように特別「夏といえば!」というバンドではない。私の中にあるイメージだ。

というのも「8月」はタイトルまんまなのでともかく、バンアパを初めて観たのが「Scent Of August」のリリース前あたりの時期だったのでそこで印象がついたのだろうなと思う。CDを聴くより先にライブを観て、自分の目で見ることで良さを知って出会ったバンドだった。ライブでの定番曲も何も知らずに観に行って、「photograph」の炭酸がしゅわりと泡立つようなイントロのギター、荒井さんの甘さを感じるけれどくどさはないヴォーカルが特に印象に残った。

アルバム全体を通して、入道雲の白さが眩しい青空が広がる朝が始まり、冷房の聴いた部屋の中でゲームに興じていたかと思えば外に飛び出して行ったり。そして台風の気配を感じたり、夕方になるにつれて街の顔が変わる気配を感じてソワソワしたり、蒸し暑い夜に外に出た時に外灯がチカチカするのが目についたりするような、「学生時代に過ごした夏休み」のような風景が描かれている、風通しの良い1枚となっている。最初に聴いたアルバムだという贔屓目を抜きにしても、「Scent Of August」は彼らの作品の中で1、2を争うくらい大好きな作品だ。

ちなみにこのアルバムの次に全国流通された「2012 e.p.」も夏を感じる1枚だ。EPだからか話題に上がる頻度やライブで曲が演奏される機会が少なめな気がするが、個人的にはこちらも名盤なのでオススメしたい。

wikipediaにも記載があるが、バンアパはメタルバンドのコピーをきっかけに結成されたからか、技術的なことに全然詳しくない人間でも楽器の演奏テクニックがかなり優れているのが一発でわかる。けれど凝った構成に対して、音がいい意味で軽やかなのでとても聴きやすいのだ。
また「マスロック」という、ギターを中心とした複雑で変則的なリズムを多用した音楽性のちょっとコアなジャンルがあるのだけれど、そこにも分類されるらしい。

サブスクリプションでの配信が一部アルバムのみ、YouTubeでアップロードされているMVも多くはないのだが、Apple Musicでは20周年記念の際にリリースされたトリビュートアルバムの楽曲が一部を除いて配信されている。「higher」「Moonlight Stepper」「ピルグリム」などのライブで演奏される頻度が高めの曲が彼らの盟友バンドによってカバーされているので、ぜひ聴いてみて欲しい。原曲を非常に大事にしてくれているカバーなので。

そして気に入ったら是非、CDショップで彼らの作品を探してみてください。

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