LOG
声が千切れるまで 叫び続けるだけ
ストレイテナー「MOTIONS」
星も月もない夜空に 厚い雲を射抜く歌
来て良かったなあ、長崎。
ベスト盤のツアー「21st Century Rock Band Tour」の後半辺りから、テナーのライブに集中しきれない自分がいた。
人間、どうしても慣れってものが生まれてしまうんだろうと思う。2011年からテナーのワンマンライブに行き始めて、LONG WAY TO NOWHEREツアーに9公演行って、関東での出演イベントほぼ全部と言って良いくらい行って、ベスト盤ツアーも9本行って。
そこで周りからすごいテナー好きなんだねって言われて、それが誇らしくあったんだけど、その気持ちを守ろうって思う意識が自覚のないうちに強くなっていってたのかもしれないなって。観るうちに新しい感動とかなかなか少なくなって。
思えば他のバンドのライブも行ってたけどテナーはあまりにも突出しすぎてた。
10代前半の思い出なんかなにもないわたしにとって、10代後半に入った高1の時に出会ったテナーは10代の人生すべてを注ぎ込んで来た存在だった。
過剰な言い方かもしれないけど、どれだけ言葉を探してもこれ以上にしっくりする表現がない。
このバンドのためにバイトして、このバンドのために気持ちを表す表現を探して、このバンドに依存しきって何から何まで助けてもらった。
Behind The Sceneは買ってたけど、形式上みたいな感じでとりあえず買って、とりあえず聴いて、何も感じない状態だった。
ライブに行っても深くのめりこめない、余計なことばかり頭に浮かんで曲に身が入らない状態は相変わらずで、しばらくライブに行くの控えよう、と決めた。
あんなに追いかけて大好きで毎日毎日毎日飽きもせずひたすら聴いて、眠れない夜にただ1曲だけをずっとリピートしてたのに、CREATURESに依存してたのに、Early YearsのROCKSTEADYを始めて聴いた時あまりの荒削りさと若々しい衝動にものすごい痺れて、当時全盛期だったmixiの日記に”ROCKSTEADYがあまりにもかっこよすぎる”ってことだけを書いたりしてたのに、
どれだけ大好きだった曲を聴いても何も心が動かくなった自分がいた。
それなのに好きなバンドは、って話題になったときにテナーを必ず最初に挙げる自分がいて、今もう全然心が動かないくせにどうしてそう言えるんだ、ずっと好きでいたいのにどうして心が動かないんだ、ってやりきれない気持ちで何も考えたくなかった。嘘ついてないのに嘘ついてるような気持ちだった。
それでも今回、長崎だけは行く、と思ってた。行かなきゃいけないでも行きたいでもなく、行く。
別に誰もわたしがテナーのライブにいることに必要性を感じてないし、いなくても別にいいし、決めるのは自分だし義務なんかどこにもないくせにね。なんか、ね。うまく言えないけれど。
THE REMAINSも、MOTIONSも、聴けて嬉しかったよ。とても、嬉しかったよ。
悲しみだけが、の歌詞が音に乗った、たった一秒の一瞬で心が舞い上がった。こんな風にすべてのモヤモヤを吹き飛ばして、思わず拳握り締めてうわあぁぁ!って喜べる日が、テナーでまた来るなんて、思わなかった。思えてなかった。喜べてることが嬉しかった。彩雲でまた泣いた。CDJで聴いて以来2回目の彩雲。前回はその場にいるのが嫌で嫌でしょうがなくなって、消えてしまいたくなって、終わってすぐ一人になりたくて走ってEARTH STAGEから逃げ出した。今回はただただ、空気に混じるように受け止められた。Breaking GroundからのMOTIONSの繋ぎにまんまとやられた。飛行機の中で聴きたいな、って零した曲。あんなの反則だよ、もう。カッコよすぎんだよ、馬鹿野郎。
次々に披露されるBehind The Sceneの曲を聴きながら、いままでいろんなところで聴いてきた既存のアルバムに入ってる曲を聴きながら、前回ここに来たときのことを思い出した。3年前のわたしは19歳、高校時代のジャージを履いてライブ観に行ってるような今よりさらに青臭いクソガキで、はじめて自分で飛行機を手配して長崎に来た。ひとりだった。テナーだけに夢中だった。それだけで良くてこれ以上の喜びなんかないと思ってた。自分で幸せの上限決めてたんだよ。勿体無いね。
初めからそこに在るかのように
ストレイテナー「Super magical illusion」
何一つ疑いのない形
僕らが出会うよりずっと前に
今では手の届かない場所に
不確かな物に触れるために
一つ一つ言葉にしたい気持ち
嬉しい楽しい悲しい苦しいとき
昨日も今日も明日も花が咲くだろう
心迷わずに 楽になる 一つになる
ストレイテナー「彩雲」
片道の乗車券 片目で観る世界
笑ってていいんだよ
久しぶりに会えた
彩雲の影が このまま消えないで
言えなかった 君を失いたくない
彩雲の影が このまま消えないで
(明日という日があるさ ちっぽけな世界で
そうさ もう一つの空の下でも 君はずっと僕の心の中に
昨日は終わらず 君にさよならは言えない)
二度と戻れない過去に
ストレイテナー「放物線」
連れて行ってくれる
一生訪れない場所へ
運んで行ってあげる
過ちの夜に 忘れた魔法で
片道の乗車券、即ち、19の頃にはもう戻れない。
いろんな物を見て、いろんな物に触れて、たくさんの人に出会ってきた。
このライブに来てわたしはようやくはじめて、本当の意味で「Behind The Scene」というアルバムの曲を聴いたんだと思った。
しんどかった、受け入れられなかった、悲しかった、苦しかった、でも人に言えなかった、言えるわけがなかった、そして、言うつもりも一切なかった。それがなにより自分で自分の残酷さを感じた。
身勝手な振る舞いばかりして離れたけど、それでもテナーの音楽はここにあった。悲しんで、また聴いて、観て、喜べた。泣けた。
遠くの長崎まで旅して来て、はじめて得られる気持ちだったんじゃないかな、と思った。
この日を迎えるためのいままでの日々だったのかもしれないな。
行かなかった赤坂のセットリストも聞いたけど、何一つ後悔はない。来るべき時に来るべき場所に導かれた、はず。
心の歪みを音楽でまっすぐにする人たちに、まっすぐにしてもらった。そんなライブだった。
セットリスト
01.The World Record
02.VANDALISM
03.KILLER TUNE
04.SAD AND BEAUTIFUL WORLD
05.THE REMAINS
06.シンデレラソング
07.Breaking Ground
08.MOTIONS
09.DONKEY BOOGIE DODO
10.Yeti
11.Wonderfornia
12.シンクロ
13.放物線
14.彩雲
15.Super Magical Illusion
16.Asshole New World
17.Little Miss Weekend
18.78-0
19.冬の太陽
20.羊の群れは丘を登る
21.Melodic Storm
22.From Noon Till Dawn
23.翌る日のピエロ
24. TRAVELING GARGOYLE
セットリスト出典:LiveFans