SHIBUYA-AXの話

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今回のピックアップはかつて渋谷にあった「SHIBUYA-AX」。

名前:SHIBUYA-AX(しぶやアックス)
アクセス:代々木公園の真横(というかほぼ敷地内)。渋谷/原宿/明治神宮前各駅から徒歩10〜15分くらい
営業期間:2000年〜2014年
キャパ:約1,700(オールスタンディング興行時)
※公式サイトも既に閉鎖済みのようなので上記についてもwikiより参照

個人的好き度:★★★★★(思い出がいっぱい)

営業期間の通り、既に閉館済み。
解体もとっくの昔に終わっていて跡地は現在駐車場。
よりによって一発目から自粛ムードが明けたところでどれだけ行きたくても二度と行けない会場なのはツッコまない方向でお願いいたします。

クローズイベントがSAYONARA-AXという企画名のスリーマンだったことは憶えていたけれど、こけら落としがDragon Ashだったのは調べて初めて知った。

目次

規模感のちょうどいいライブハウス

渋谷にこの規模のスタンディング公演向きのライブハウスってもう他にないんですよね。クアトロは800前後、O系列で一番大きいEASTも1,300くらい。
やや思い出補正が入っているとは思うけれど、
多少駅から歩くとはいえアクセス良し、横に広いからどこからでも見やすい、ステージも比較的高め、柵の数が適度ではしゃぐのもゆったり観るのもどちらにも対応している、ロッカーの数もそれなりで余程ギリギリに行かない限り困らない、とオーディエンス側からしたらかなり好条件の整ったライブハウスだった。
外観もライブハウス!という感じなので行く度にワクワクしていた。
内装は確か赤っぽかったような…最後に入ったときに「この場所のことを忘れないでいたい」と思ってあちこち見つめたはずなのに、残念ながらうろ憶えである。ふと天井を見上げたらCDディスクがぎっしり並んでいて衝撃を受けた記憶は残っている。

学生時代に一応自分でもバンドをやっていた関係で、初めて「プロの出る公演を観に行ったライブハウス」は無料招待企画で行ったZepp Tokyoなのだけれど、「チケットを買って行った初めてのライブハウス」はここSHIBUYA-AX。
公演はストレイテナー”CREATURES PARADE TOUR”。開場前に公園通りのGAPで待ち合わせてチケットを譲ってもらい(このとき初めてチケット譲渡のやり取りをした)、ライブの開演後は頑張って3列目までなんとか入り込み、圧でぎゅうぎゅうになりながらも夢中になってステージを観て、苦しいけど楽しい、こんなに近くで見れるなんてすごい、と感動しっぱなしだった高校3年生、17歳の春だった。
MCでVo.のホリエアツシが触れていた通り、終演後外に出たら入場口前の待合スペースに植わっている桜の樹が満開で綺麗にライトアップされていた。

その後もテナーの別のツアー、Nothing’s Carved In Stoneの対バン企画、Galileo GalileiGGのプレショー(フロアに入ろうとしたら同じ扉から出てこようとしたお姉さんと正面衝突してビールを被ってしまった記憶がある)、CA4LAロックフェスティバル…と、ざっと思い出せるだけでも年に2〜3回は必ず足を運んでいた。

それにしても随分思い入れの強いハコな気がする。
ライブの前に友人とすぐ隣の代々木公園で集まってスピーカーで好きな曲を流して騒いでみたり、おやつを持ち寄ってピクニックのようなことをしながらだらだらと話したり、自分は中に入らないけれど中に入る友人に会いに会場まで行く、というのもよくやった。渋谷は自分の最寄駅からもアクセスが良く、ライブ後にご飯を食べても終電などを気にせず帰れるので時間に余裕を持って遊べるというのも大きかった。ここでのライブをきっかけに出会った友人も多い。

何も考えずただただライブに行ってはしゃぐのが一番楽しかった頃に、一番よく遊びに出ていた土地の、抜群に心地良い場所だったと言える。趣味の合う、歳の近い友人と出会う楽しさ、公演の前後の楽しみ方もここが教えてくれた。

ちなみに私が最後に行ったAXでの公演は閉館の一週間前、ATATAとKEMURIの対バンだった。客層が自分より上の年代が多く、落ち着いているけれどはしゃぎ方は振り切れている人が多かった。多くの人が私と同じように最後のAXでのライブで悔い残さず、と思っていたからかもしれないけれど。
ライブの後半、KEMURIのヴォーカルの伊藤ふみおさんが客席に「最後だからステージ登って良いよ!」と呼びかけると10秒後には3人ほど上がっていた。あまりの早さにはええよ、と突っ込んでいた。マイクに割り込んでメンバーと一緒に歌ったりステージからダイブするオーディエンスの波は曲が終わるまで絶えず、なかなかに壮観な光景だったけれど、あの場には多幸感しかなかった。

思い出話になるとここの話題が出ることは多い。それだけ愛されたライブハウスだった。
初めて行った時から10年、閉館してから6年が経つらしい。もうそんなに、という気もするし、まだそんなもんなのか、という気もする。

帰りたくても絶対に帰れない場所だけれど、
夢でも良いからもしもう一度ここでライブが観れるなら。
私はやっぱりここで一番観たストレイテナーを、今のテナーで観たいな、と思います。

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