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tacicaについて(1)

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ストレイテナー、ACIDMAN、the HIATUSに次ぐくらい、初めてライブに足を運ぶようになってから定期的に今も観続けているバンドがいます。

tacica

タシカと読みます。
2005年に北海道で結成されてから、ギターボーカルの猪狩さん、ベースの小西さん、ドラムは結成当時は坂井さん、2014年に坂井さんが脱退してからはsyrup16g中畑さんを中心にサポートを迎えながら活動している、来年20周年を迎えるバンドです。

売り出し当初は北のBUMPなんてキャッチコピーで売り出されていたこともあったらしく、私があまりBUMP OF CHICKENに詳しくないのではっきりした断言はできないけど、言われてみれば「HERO」などのド初期の曲は歌い方とか似てるかな…?という気がまあしないでもないです。

目次

出会ったきっかけ

彼らの存在を知ったのは高2か高3の時、時期的には2009年〜2010年くらい。
高校に入る直前からTOKYO FMSCHOOL OF ROCK!を聴き始めてたんですが、そこでちょくちょくピックアップされていたんですよね。
たぶん「神様の椅子」「命の更新」が発売されるくらいのタイミングだったと思います。

直接曲を聴いて印象に残ったというよりは、なんとなく名前が頭に残っていて、ラジオでも名前聞くし、当時お世話になっていた軽音部の先輩も聴いてるみたいだし、仲が良かった隣のクラスの子も良かったって言ってたし、という感じでTSUTAYAでCDを探してみたら2ndフルアルバムの「jacaranda(ハカランダ)」がちょうど置いてあったので借りてみたのが始まりだったはず。

今もライブでほぼ必ずと言っていいほど演奏される「人鳥哀歌(ペンギンエレジー)」

このアルバムはなんと言っても一番有名なのはこの「人鳥哀歌」なんですけど、ロックバンドの2ndアルバムは名盤が多いという俗説に違わず一曲目の「20日鼠とエンドロール」から「γ」までの流れが絶妙なバランスで構成されていて最高すぎるんですよ。
「20日鼠とエンドロール」の何かが始まる、という空気感のドラムの音で始まるイントロから、ギターのフレーズでガラッと雰囲気が変わってサビに入っていくドラマチックな構成でいきなり心を持っていかれて、「鼈甲の手」以降の曲に続いていくわけです。
tacicaに出会った時点で、今に至るまで聴き続けているASIAN KUNG-FU GENERATIONストレイテナーACIDMAN、ELLEGARDEN、the HIATUS、9mm Parabellum Bullet、藍坊主あたりのバンドにはすでに出会っていたのですが、一見ダウナーで繊細で、綺麗でおとなしいような雰囲気を纏いながらも自分の内側で確かに温度を持っているような、そんな感情を鳴らしているバンドの音を聴いたのはtacicaが初めてだった気がします。自分の中で全く知らない展開の曲ばかりで。
本当に名曲が多くて「タイル」「ジャッカロープ」「メトロ」あたりも10年以上経った今改めて良さを感じるくらいなのですが、当時一番よく聴いていたのは「Garapagos」でした。

誰か 誰か 誰か 誰か 誰かって 誰かが呼んで
誰か 誰か 誰か 誰か 誰かが今もわかんない
だから 僕は いつも 誰か 誰かってあんなに呼んだのに
だけど だけど 誰も 何も 答えてはくれない日が続いてる

tacica 「Galapagos 」

終始時計の針のような一定のリズムを刻む音が鳴っていて、歌詞としては割と救いがない終わり方。
今改めて思うと、「あんなに呼んだのに」という歌詞で心情がさりげなく吐露されてるわけで、人の心には見返りを求めない純粋さだけがあるとは限らない、そういう感情があるのは自分だけではない、ということを歌ってくれる人が、自分が今まで知らなかった世界にいたことが一筋の希望のように思えて余計に突き刺さっていたような気がします。

2011年 初めてのライブ -アリゲーターは眠らない-

聴き始めてから初めて彼らのライブを観るまでは少し時間が空いています。
ちょうど私がライブに行き始めたタイミングでは坂井さんの病気で活動を休止していて、高校卒業してすぐの2011年の3月18日にZepp Tokyoで復活ライブが開催される予定でチケットを取って楽しみにしていましたが…1週間前に東日本大震災が発生したんですよね。(超余談ですがGET TICKET経由でチケットを買っていたので払い戻しが郵送対応必須でちょっと手間取った記憶があります)
ようやく初めて彼らを観ることができたのが同年7月のリベンジツアー「アリゲーターは眠らない!!!!!」でした。
来場者プレゼントのお土産ステッカーは今もずっと大事に持っています。

活動休止からの色々を経て聴いた「命の更新」にはあまりにも意味がありすぎました

体じゃ足りないくらい 生きて
両目じゃ足りないくらい 夢を見たい

tacica「命の更新」

経緯をなんとなくでも知った上で聴くと、やっぱりこの部分を歌っているときの猪狩さんの歌声に気持ちが乗っているように思えてならなくて、心がめちゃめちゃに揺さぶられます。
かと思えば、物販紹介のコーナーのMCがあって、その雰囲気がゆるくて笑
この時はまだ小西さんは喋らなくて、坂井さんがグッズ紹介を担当していた記憶があります。
優しい話し方をする方だったのでものすごく癒される一時でした。

2011.07.08 赤坂BLITZ公演 セットリスト

01.HERO
02.人鳥哀歌
03.ドラマチック生命体
04.命の更新
05.JADITE
06.ハイライト
07.その日、一日。
08.アリゲーター
09.人間1/2
10.黄色いカラス
11.コオロギ
12.贅沢な蝋燭
13.掟と礎
14.タイル
15.神様の椅子
16.永久列車
en.
17.不死身のうた
18.アースコード

出典:LiveFans

その後はテナーをはじめとした他のバンドにあまりにもどハマりしすぎていて、曲は聴いていたもののしばらくライブはご無沙汰だった時期を経て、2013年の「HOMELAND 11 Blues 」のリリースのタイミングで久々に足を運びました。

2013年 HOMELAND 18 Blues Tour-2014年 三大博物館

ツアーの行程に名前だけはずっと知ってて行く機会がなかった京都磔磔での公演があるのに気が付いて、遠征したんですよね。夜行バスで。なかなか寝付けなくて道中何度か起きて、ウォークマンでtacicaの全曲シャッフルしながら向かってた記憶があります。
なんでそんなことを覚えてるかというと、実はテナー以外でワンマン公演で地方に足を運んだのはこれが初めてだったんですよ。ただバンドを見たい、だけではなく、あの場所で見たい、という動機の割合が大きくて。
そういう意味では、tacicaも紛れもなく私の世界を広げてくれたバンドなんだなと思います。

このアルバムは全体的にシリアスな空気の曲が大半なので自ずとアルバムごと好きになるわけですが、特に「Empty Dumpty」「大陸」「newsong」あたりの曲の雰囲気がとても好みで、もっと観たいと思った末に高校時代の友人も誘ってファイナルの横浜ベイホール公演にも参加しました。

「HOMELAND 11 Blues」に収録されている「Co.Star」。タイトルが出てくるタイミングがカッコ良すぎる
2013.10.31 「HOMELAND 18 Blues Tour 」京都磔磔 セットリスト

01.vase
02.Co.Star
03.アリゲーター
04.newsong
05.命の更新
06.某鬣犬
07.Mr.
08.ジャッカロープ
09.Empty Dumpty
10.From The Gekko
11.Fool’s Gold
12.大陸
13.黄色いカラス
14.バク
15.アトリエ
16.DAN

en.
17.barefoot
18.bearfoot
19.人鳥哀歌

出典:LiveFans

2013.11.24 「HOMELAND 18 Blues Tour 」 横浜Bay Hall セットリスト

01.vase
02.Co.Star
03.アリゲーター
04.newsong
05.命の更新
06.某鬣犬
07.Mr.
08.ジャッカロープ
09.Empty Dumpty
10.From The Gekko
11.Fool’s Gold
12.大陸
13.黄色いカラス
14.バク
15.アトリエ
16.DAN

en.
17.barefoot
18.bearfoot
19.HALO
20.人鳥哀歌

en2.
HERO

出典:LiveFans

アルバムに収録されていない、でもライブではまあまあ演奏してくれる名曲「コオロギ」の存在を知ったのもこのツアーでした。
「黄色いカラスe.p.」のカップリング曲で、2021年にリマスターまでしているのにどうしてアルバムに収録してくれないの…と思わずにはいられない)
心臓の鼓動みたいなイントロから始まって、時折入るハンドクラップとか、メランコリックな曲調がどうも印象に残って、セットリストを調べてなんの曲か確認して、渋谷のDiskUnionで音源を見つけていざ聴きながら歌詞カードを開いて、改めて打ちのめされました。

「一体何を愛しくなると 胸打たれるかな
僕らは此処」

「御伽話と違うみたいで 生きれば時に綺麗じゃなくて」

tacica 「コオロギ」

tacicaの曲の歌詞は抽象的な表現や詩的な言い回しが多くて意味を読み解くのが結構難解なんですけど、
この曲は割とはっきり「普通の、人と同じような人生」を過ごすことに対して風刺してる気がします。
ちらっと前述した通り、学生時代に挫折に近い感情を味わったり、ライブ漬けの日々を送っていて楽しいと思いつつも、一般的な普通の生き方に馴染めてなくて道を逸れている感覚を抱いている人間からしたらまあグッサリきますね。
傷つく、とも少し違うけれど、真実が歌われているこそ怖いもの見たさのような感じで惹かれてしまう。

そんな風にtacicaに対する自分の気持ちを再確認して熱が高まっていて、これからもライブを観れるのが楽しみだなと思っていたのですが、このツアーが終わって2ヶ月後に坂井さんの脱退が決まり、tacicaは2014年1月の三大博物館ツアーで一度節目を迎えることとなります。

2014.01.25 三大博物館 ~HELLO HALO~ セットリスト

01.JADITE
02.vase
03.Co.Star
04.newsong
05.命の更新
06.某鬣犬
07.Mr.
08.ジャッカロープ
09.神様の椅子
10.From The Gekko
11.Fool’s Gold
12.大陸
13.ハイライト
14.ウソツキズナミダ
15.コオロギ
16.人間1/2
17.DAN

en.
18.HALO
19.人鳥哀歌

en2.
20.アースコード
21.HERO

出典:LiveFans

病気から復帰して、これからは、と思っていたけど、本当に仕方なかったんだろうな、と思います。
脱退の時のコメントではっきりと理由を語ってくれていたので、辞めずに済むならもっと続けたかったんだろうなとも。(不仲が原因でないというのはまず間違いなく、脱退後も坂井さんはtacicaのライブ情報をXで拡散してくれていたりします)
気がついたら10年経ってしまっていてだいぶ記憶が薄れてしまっているのですが、猪狩さんがMCで1曲目に「JADITE」を演奏したことに触れていたのと、「DAN」の時に坂井さんの目が真っ赤になっていたのがかなり後ろの方で見ていてもわかったのを覚えています。Zepp Tokyo、本当だったら2011年に坂井さんの復帰でステージに立つはずだったんですよね。

今日もまた あなたのいない場所を 手当たり次第探す
どこかへ行っても色褪せない理由
そう 描けない夢なんてない
叶わない夢なんてない
って 思ってたんだろう 一人
残り全部の命を使って

tacica「DAN」

坂井さんの脱退については誰もが受け入れるしかなくて(受け入れる受け入れない以前の問題ですが)だからこそ当たり前にショックだったし悲しかったんですけど、この日のライブは思うほど悲壮感で満ちていたわけではなかった気がします。
それはtacica自身が、色んな困難にぶつかって悩んだり傷ついたりするけど、それを自分ではない誰かにわかってもらうために苦しみをぶつけるような表現はしていなくて、かといって諦めるわけでもなく、現状を受け入れるために静かに向き合っていたから、リスナーもその音にただただ寄り添って同じ方向を見ようとしていたような気がします。

長くなってしまったので次の記事へ続きます。

tacicaは2024年現在、名盤「parallel park」と「human orchestra」の再現ツアーを開催中です。
5/12(日)の名古屋E.L.L.、5/18(土)の東京キネマ倶楽部公演どちらもまだチケット販売中なのでお近くにお住まいの方はぜひ。

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